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どうやってM&Aを成功させるのか 

先日、都内で早稲田大学大学院で小職に会計を教えて頂きました金児昭先生の出版講演会があったので参加し、久しぶりに金児先生のお話を聞く機会に恵まれま した。金児先生の講演内容は「どの様にしてM&Aの交渉プロセスから受け渡し、M&A後に買収した会社の企業価値を上げたのか」についてであり、先生ご自 身の体験も織り込まれた素晴らしい内容でした。今回は、どの様にすればM&A後に企業価値を上げることができるのかについて、小職の経験から少し触れるこ とにします。

これまでも何回か触れてきましたが、各コンサルティング会社の調査結果によりますと、M&Aを行った結果、企業価値が増大しているものは、日本・アメリ カ・ヨーロッパを通じて全体の三分の一にしか過ぎません。M&Aのうち三分の二が企業価値を毀損するのは、本来なら経営状態が良好な会社が、経営者の傲 慢、野心などでM&A後の経営判断を間違えるためであることが多い様に思えます。
逆に、M&Aで企業価値を増大させる事に成功している企業は、M&Aが事業活動の中に組み込まれており、買収対象の選定やM&A後の事業統合は、予め企業 精査の中で十分に検討されたプロセスで進められます。M&Aで成功している企業には、買収した後で「さて、何をしようか?」と検討を始める様なものはあり ません。つまり、機会主義に陥って、収益の増大や全く異なる事業への参入を目的としたM&Aはしないのです。 M&Aで企業価値を増大している事業会社に共通な点は、通常の業務プロセスの一環として、既存事業を強化したり、競争優位にある分野を少し拡大するような 場合にM&Aを行っている点ではないかと思います。逆に、企業買収で連結決算ベースで目先の売上や収益を伸ばしているように見せかけるものは、大半が数年 で崩壊している傾向があるように思えます。M&Aにより非関連多角化を行い新事業を目指すのはリスキーな行為です。優れた買い手は、常に自社の企業価値を 増大させる相手とのM&A機会を窺っています。こうした企業は、買収対象企業と企業文化が融合できるか、M&A後の統合がうまくいくかどうかにも細心の注 意を払っています。企業精査(デュー・ディリジェンス)で会計上や法務上のリスクを把握することも重要ですが、企業文化の融合やM&A後の統合計画に時間 を掛けます。買い手側企業と被買収企業の社員の間に、企業文化の深い溝があれば、事業の成功を阻害することになります。
大規模な業界の勢力図を塗り替えるようなM&Aは失敗するリスクが高いのは、過去の大型M&Aの悲惨な結果が教えてくれます。大規模なM&Aが行われて喜ぶのは、新聞が売れたり視聴率が上がったりするマスコミや巨額の手数料を懐に入れる投資銀行・金融機関などでしょう。

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