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M&A取引金額は最重要論点のひとつ 

アインファーマシーズ(以下、「アイン」)とCFSコーポレーション(以下、「CFS」)との株式移転(共同持株会社)で、アインとCFSが合意した交換 比率は、CFS1株に対して共同持株会社を0.3株と交換するというものだ。これに対し、イオンはCFS1株に対して共同持株会社株0.74株と交換すべ きと主張している。CFSの株主にとっては、自分の保有するCFS株式が共同持株会社0.3株と交換されるのか、それとも共同持株会社株0.74株と交換 されるのか、そこには2倍以上の開きがある。CFS株を持つ方なら重大な関心を持つに違いない。
なぜ、こんなに大きい交換比率の違いが出てきたのだろうか。問題は、アインとCFSが株式を交換する比率を計算するのにディスカウンテッド・キャッシュ・ フロー(以下、「DCF」)と市場株価方式(以下、「市場株価」)の2通りしか採用していない点だ。DCFは新会社が将来生み出すフリー・キャッシュ・フ ロー(以下「FCF」)を加重平均資本コスト(以下、「WACC」)で割り戻して企業価値を推計する手法である。このFCFを推計する為には、当事会社同 士で作成した事業計画や設備投資計画が必要となる。この事業計画や設備投資計画がもしも恣意的なものであれば、推計された企業価値も恣意的なものになって しまう。単純に言えば、事業計画や設備投資計画でFCFはどうにでも変わる。しかも、FCFを割り戻すためのWACCの推計も明らかではない。(WACC の推計はイボットソンのデータなど広く使われているものを使っていると思うが。)これでは、企業価値推計の客観性がどうだったのかと疑問を持たれても仕方 が無いだろう。確かに、DCFはM&Aでは広く使われる方法であるが、通常の企業価値推計では、DCFに加え、コンプコ方式、市場株価方式、簿価純資産方 式など数種類の方法を用いて何通りかの企業価値を出した上で、加重平均するのがプロの方法だ。今回、CFSは市場株価方式とDCFの2通りしか採用せずに 企業価値を推計している。CFSの石田健二会長兼社長は、「イオンの統合比率は、上場企業のM&Aで通常使われる手法が採用されていない」と発言したが、 CFS側も「答」である交換比率0.3を導出するために2つの方法で計算したと疑われても抗弁できまい。一方、イオンが主張する一株当り純資産に基づく交 換比率試算では、CFS1株につき交付されるべき共同持株会社株は0.74株となる。これも単一の方法による交換比率計算のため極端な結果になるが、 CFSの株主にとって、自分の持っているCFS株が、0.3株になるのか0.74株になるのかは大きな問題だ。イオンの岡田社長が主張する「現在の統合比 率は、CFSの株主利益を毀損する」との主張は一理ある。名誉のために付言すると、企業価値を推計したPwCAは、あくまでもCFSが作成した事業計画に 基づいて企業価値を推計しただけであって、問題の根幹は、CFSが作成した事業計画とここから生み出されるFCFにある。
この算定は、ファンドによるレックスHDGのMBOを思い出させる。この件は株価を巡り係争中だ。今回は、CFS株主がこの交換比率を受け入れるかどうか を判断することになる。もしも、この交換比率が低いと思えば、株主総会で反対票を投じればいい。株式移転は株主総会の特別決議事項であるため株主の三分の 二以上が賛成することが条件。反対する株主が多ければ、この経営統合は成立しない。
以前、いちごアセットマネジメント(ファンド)は大阪製鉄との経営統合を巡る東京鋼鉄との委任状争奪戦の際、プレミアムに論点を絞って株主の支持を得た。 アインとCFSは、この経営統合について株主の承認を得たければ、交換比率の見直しを行い、株主の理解を得ることも必要になるかもしれない。
今回のM&Aの発表を見ていて感じることは、M&Aのプロを入れることが必要ということだ。恐らく、当事者同士で話を進め、交換比率もプロの助言なしに決 めたのだろう。もしもM&Aのプロが入っていれば、イオン側が、簿価純資産での比較で1:0.76を指摘することを想定の範囲に入れた上で、各当事者に交 換比率を決定する様にアドバイスをするだろう。交換比率算定で、簿価純資産を全く考慮に入れなかったことは、「抜けてましたね」と言わざるを得ない。取引 価格はM&Aでも最重要事項のひとつだ。交換比率でこの様な大騒ぎになったことはプロのアドバイスが無かったのだろうと推測する。今回の報道を見て、以上 の様に個人的に感じた次第であるが、本件の判断は各自で行って頂きたい。

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