株主資本主義vs企業経営
近年、一部のマスコミ、学者、金融関係者から“アメリカの様に株主資本主義を取り入れなければならない”といった主張が喧伝されています。この株主資本主義とは、一体、何なのでしょうか。
この株主価値の重視が株価重視の経営になり、会社は将来の利益よりも目先の利益だけを考える風潮が強まっています。株主資本主義を取り入れたアメリカでは、従業員のリストラ、長い間続いた顧客との関係解消、必要な設備投資や研究開発費の削減などが行われ、従業員の忠誠心がなくなり、長年続いた顧客との関係は冷え込み、設備は更新されないままになった企業が数多くあります。行き過ぎた株価重視がエンロン事件を起こした事を覚えている方も多いでしょう。
事業会社は長期の視点で経営を考える必要があります。目先の利益を生むために、長期の成長に必要な研究開発費、設備投資、設備更新、従業員の待遇改善を犠牲にすることは、長い目で見れば、その会社の競争優位を損なうことになってしまいます。目先の株価だけ高ければよいと考えている人たちは、その会社に魅力が無くなれば、株を売って出て行けば済みます。しかし、抜け殻になり競争力が無くなった会社の従業員や取引先・仕入先はどうなるでしょうか?もちろん、機関投資家にすれば、自分が儲けなければ解雇されるので、投資先の会社の従業員のことなど気にしないでしょう。
株主資本主義は、一見もっともらしく聞こえますが、実は目先の株価だけを考える経営は、長期的に見れば、企業の価値を損なうものではないでしょうか。
- [2008/02/05 02:07]
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