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 2008年02月 

株主資本主義vs企業経営 

近年、一部のマスコミ、学者、金融関係者から“アメリカの様に株主資本主義を取り入れなければならない”といった主張が喧伝されています。この株主資本主義とは、一体、何なのでしょうか。

アメリカでは、1970年代以降、機関投資家による企業の株式所有が進み、この運用責任者であるファンド・マネジャーは、運用成績(いかに投資資金を増やしたか)によって評価されるため、彼らは上場会社の株式を買い、大株主として上場会社へ株価を上げるように圧力を加えたのです。このような機関投資家の圧力が株主資本主義を生んだ背景と言われています。

この株主価値の重視が株価重視の経営になり、会社は将来の利益よりも目先の利益だけを考える風潮が強まっています。株主資本主義を取り入れたアメリカでは、従業員のリストラ、長い間続いた顧客との関係解消、必要な設備投資や研究開発費の削減などが行われ、従業員の忠誠心がなくなり、長年続いた顧客との関係は冷え込み、設備は更新されないままになった企業が数多くあります。行き過ぎた株価重視がエンロン事件を起こした事を覚えている方も多いでしょう。 

事業会社は長期の視点で経営を考える必要があります。目先の利益を生むために、長期の成長に必要な研究開発費、設備投資、設備更新、従業員の待遇改善を犠牲にすることは、長い目で見れば、その会社の競争優位を損なうことになってしまいます。目先の株価だけ高ければよいと考えている人たちは、その会社に魅力が無くなれば、株を売って出て行けば済みます。しかし、抜け殻になり競争力が無くなった会社の従業員や取引先・仕入先はどうなるでしょうか?もちろん、機関投資家にすれば、自分が儲けなければ解雇されるので、投資先の会社の従業員のことなど気にしないでしょう。

 さて、一部のファンドは“株主資本主義”を富の移転に利用していると思います。これらのファンドは、日本の上場企業が長年蓄積した内部留保を狙い、市場で株を買って株主になり、株主資本主義を唱え、増配や会社解体、含み益のある資産処分などで狙った会社の資産を懐に入れますが、実態は、日本の上場企業が長年蓄積した内部留保は、ファンド経由でファンド出資者の懐へ入るのです。つまり、ファンド出資者は、企業が数十年かけて蓄積した内部留保を短期間で手に入れて、大きな儲けを得ることが出来るのです。

株主資本主義は、一見もっともらしく聞こえますが、実は目先の株価だけを考える経営は、長期的に見れば、企業の価値を損なうものではないでしょうか。

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