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 2008年07月 

粉飾決算とM&A 

ライブドア、アイシーエフなど話題に上った企業が行った株式交換を用いたM&A手口に関連して、以前から、アメリカでは、資本市場が上昇相場にある事とM&Aとの関係に着目した先行研究が行われています。株式市場で企業実態よりも株価が過大評価されている状態では、企業の経営者や内部関係者は、その経営する企業に本来備わっている実態価値を知っている一方で、一般投資家などはこの企業に本来備わっている実力に見合った株価が判りません。

このため、その株価が企業の内部で考えられている価値を上回っている場合には、当該企業の経営者は実態価値よりも高く市場から過大評価された株価を利用し(株式をM&Aの交換手段として使用して)合併や株式交換等を行う事で、実態よりも有利な合併比率や交換比率を使う事が可能になります。

強い成長イメージを持つために株価収益率が高くなった(株価が過大評価されている状態)企業が、株価収益率の低い企業と株式交換(株式移転)を行うと、1株当たり利益は増加します。理屈上では、高い株価収益率を永遠に維持できれば、株価収益率の低い企業を株式交換等で買収し続けることで、1株当たり利益を無限に増やすことが可能になります。

このため、証券市場で一般投資家へ高成長イメージを持続的に与えることが、過大評価された株式を利用してM&Aをする企業にとって生命線であり、「株価の過大評価→マーケット・ドリブンM&A→収益拡大→株価の過大評価」の循環パターンが崩れないよう死守するのです。このため、ライブドアは、今回のような粉飾決算を行ったのではないでしょうか。時価総額経営と呼ばれた時期もありましたが、投資家はこの様に「時価総額を維持するため、粉飾決算も起こりうる(有価証券報告書が真性でない)こと」も想定の範囲内におくことが必要です。

このように、高株価に支えられた経営は、株価が短期間で大きく変動するリスクを常に抱える点も考慮すべきでしょう。ウォール街などでは、これをマーケット・ドリブン・M&A(market driven M&A)と呼びますが、アメリカの代表的な事例としては、AOLによるタイムワーナーとの株式移転(日本では「合併」と誤訳されています)が広く知られています。このM&Aが歴史的な失敗に終わったことは余りにも有名です。

この様に、異常な株価がついた会社が行う株式交換などの”株式をM&Aの通貨に利用するM&A”では、交換される側の株主は「割り負けしている」ことを十分に意識して、交換に賛成するかどうかを判断することが重要です。株主総会の特別決議による承認が株式交換に求められているからです。また、この様な株式交換が起きた場合、交換された側の株主は、直ぐにその株式を市場で売却することが被害を避ける最善策だというアメリカでの先行研究もあります。

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