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日本のビール市場は縮小していません 

発泡酒や第3のビールを含むビール系飲料の国内出荷量が、前年同月比0.3%減の4260万ケースだったため、市場縮小と騒がれていますが、実態は違うものだと思います。(0.3%減ということは、昨年は4273万ケースだったということになります。なお、1ケースは大瓶20本換算です)

 

確かに日本の大手ビールメーカー5社の出荷量は減りましたが、一方で、日本の大手流通企業が、韓国製の安価なビールを製造委託でPBとして調達しており、この安いビール系飲料が販売量を伸ばしたため、日本のビールメーカーの販売量を押し下げたからです。この発表によりますと、内訳はビールが0.1%増の2270万ケース、発泡酒は13.9%減の680万ケース、第3のビールは8.0%増の1308万ケースです。

 

たとえば、流通大手のイオンは、バーリアルという、1本88円のビールを販売しています。これは、新ジャンルビールですので税率が安くなり、小売価格が安く設定可能です。また、円高でウォンが円に比べると安くなっているため、海外調達という面で考えると追い風となります。イオンはこのバーリアルが8月5日までの6週間余りで2000万缶(350ml缶換算)を販売したと発表した。イオンは、年間7200万缶の販売を計画しています。また、イオンの「バーリアル」発売で韓国製品の輸入量は年間800万ケース近くにまで増える見通しとなり、これは第三のビール市場のほぼ5%を占めるとも報じられています。消費者がこれら安価な韓国製のビールを購買したのですから、前述の国内ビールメーカー大手5社が発表した数字に加えないと市場全体が縮小したのかどうかが判りません。前述の事情を考えると、ビール市場自体は縮小しておらず、安価な外国製ビールを購入した消費者が多かったのではないかと思います。ちなみに、世界第一位のビールメーカー、アンハイザー・ブッシュ・インベブ(ベルギー)の傘下にある韓国第二位ビールメーカーOBビールに製造委託する企業が多いとも言われています。

 

消費者が安価な製品を購入する動機も十分に理解できますが、一方で、国内のビールメーカーの生産量は減ることになり、国内の雇用にも影響がないとは言えないでしょう。今年、国内で起きた安値販売合戦の裏には、韓国製ビールがあり、グローバル競争の影響もあると思います。しかし、日本のビールメーカーも海外進出には積極的です。たとえば、キリンビールは、フィリピンのサンミゲルのビール会社をM&Aしています。たとえば、ここの製造ラインを活用して日本に安い生産コストで製造した製品を逆輸入するといった展開もありうるかもしれません。日本のメーカーにはこの円高相場に負けずにいてほしいと思います。

 

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