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【新報道2001】中国企業から日本企業の機密情報流失【M&Aリスク】 

昨日の新報道2001(2010年10月24日)が、中国企業による日本企業買収の実例を取り上げていました。

 

まず、富士通総研主席研究員である柯隆氏が、「中国政府は、対外的な投資を行う場合、『資源獲得』、『技術獲得』、『市場獲得』を重要視している」と説明­。15年間での「中国企業による日本企業のM&A件数推移」がグラフで示され、このM&Aが急増しているデータが示されました。番組は「日本側は資金獲得、中国側は技術獲得できる­。

 

しかし、現実は...」と続き、実情に近い事例が紹介されました。それは、三重県に本社を置く株式会社ネビューです。この会社は管の特殊溶接機器では国内で7割のシェアを持っています。93年に中国企業と資本提携し、中国に工場をつくります。同社の代表取締役社長である山本健士­氏は「向こう(中国企業)も必要な技術はどんどん欲しいということで、きちんとお金も払ってくれますし。」と言います。しかし、進出から2年経過した頃、守秘義務で社外秘だった溶接機器設計図がなぜか­流出。(これが守秘義務を負った中国企業から流失したのか、それとも盗難といいますか、不法な手段により中国企業がネビューから無断で持ち出したのかは不明ですが)山本社長が、ある日訪ねてみると全く知らない地元企業の数社がその情報をもとに製品をつくりあげていた。しかも山本社長が驚いたのはある中国人からこの製品を買わないかと勧められたことだった。「いや。もう。半分は少し呆れましたけど。ただ。あまりにもそれを自慢げに見せる彼らを見ていますと、これがやはり中国的なやり方なのかなと。」と山本社長が語っていました。

 

番組ではM&Aと言っていましたが、中国企業がネビューの経営権を取得したケースでの話なのか、それともネビューが中国企業と業務資本提携を行い、経営権を渡していない状況での話なのかは不明です。

 

小職もいくら機密保持契約書を結んでも、一般に中国企業は守秘義務を守りませんので、この様な事件は数多く起きていると思います。極端な言い方をすれば、一旦、中国企業へ機密情報を開示する場合、日本企業の経営者は、Googleで検索すれば、ネット上にその情報を開示されるのと同じ位の覚悟が必要だと思います。これが実情ではないでしょうか。

 

中国企業の視点で考えれば、技術さえ日本企業から取り上げてしまえば、自国(中国)で製造する方がコスト的にも有利です。相手方が口でどんなおいしい言葉を言おうが、「なぜ、日本でわざわざ高い労務費を払ってまで製造をするのか。」と考え相手方の言うことが信用できるかを考えるべきでしょう。

 

相手の言うことを信用することは、日本人同士ではよくあることですが、異文化の外国人は全く別の考えを持っています。以前に書いたかもしれませんが、日本人が好む「話し合い」と外国人が口にする「交渉」とは全く違うものです。

 

最後になりましたが、昨日の新報道2001の報道内容は、中国企業による日本企業買収の実情をそのまま報道しており、この点を高く評価したいと思います。

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