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非上場化批判に思う 

東京証券取引所の斉藤社長が、「株主への説明責任から逃れるためにMBOで上場廃止を選択するのは、投資家への愚弄だ。」と述べたと報じられています。

 

斉藤社長は、「2009年のMBO(17社)のうち、上場時の時価総額を上回る価格で買い戻したのは2社のみだ」と述べ、「上場時に株式を高値で株主に買ってもらい、増資もし、リスクマネーを取り、株が半値ぐらいに落ち、株主がうるさくて事業ができないので上場廃止すると、心情的には、非常に不快だ。投資家を愚弄していると思う」と主張した上で「資本金融のシステムそのものの質、信頼性を非常に毀損する」と述べた。とされています。

 

確かに齊藤社長の言い分にも一理ありますが、しかしMBOを行なう会社側の監査費用や情報開示にかかる手間や時間、新会計制度への対応といった上場コストが負担になったり、経営戦略を大幅に転換するために非公開化を決めるという主張も説得力があると思います。

 

例えば、この数年の会計制度の変更により、株式を上場している企業はJ-SOX、減損会計や資産除去債務などの新しい会計制度を導入することとなりました。

 

外食企業に於ける減損会計を例にあげれば、赤字店舗を減損処理した結果、店内のテーブル・椅子・厨房機器・内装などを1円で帳簿上計上することになり、対象企業の財務諸表は大きく痛みます。一つの外食店舗の簿価が1円に評価されているならば、「私が1円で対象店舗を買ってもよい。」と考える人もいるのではないでしょうか。

 

次に、資産除去債務とは、有形固定資産の取得、建設、開発又は通常の使用によって生じ、当該有形固定資産の除去に関して、法令又は契約で要求される法律上の義務及びそれに準ずるものをいいます。先ほどの、外食企業で例をあげるなら、外食企業の店舗はほとんどが賃貸借契約や定借契約で借りています。契約満期や赤字店舗撤退時には、借主である外食企業は、対象店舗の現状回復をして家主へ不動産を返しますが、この現状回復費用などを負債計上するものです。契約満了時や撤退時に、実際に現状回復をして家主へ返すものもありますが、一方で、原状回復せずに店舗をそのまま居抜き店舗として第三者へ譲渡する(=原状回復費用が発生しない)ものもあります。

 

これらの会計処理は、近年、新たに導入されましたが、ルール導入前から株式を上場している企業にとっては「(減損会計や資産除去債務、J-SOXなどの後出しジャンケンでは)話が違う。」と感じても責めることはできないでしょう。上場しているために負わなければならないルールが変われば、上場企業が非上場化を考えることもあるはずです(会計監査が強制されている有価証券報告書提出会社及び商法特例法上の大会社(資本金5億円以上又は負債総額200億円以上の株式会社)は、一般に公正妥当と認められる会計基準を適用しないと、監査報告書において不適正意見(不適法意見)、もしくは準拠性違反としての限定意見が付されるところから、非上場化しても減損会計や資産除去債務が事実上強制適用となります。 )

 

近年、会計大学院が設けられ、公認会計士の数が増加しており、増加した会計士が食べて行くには仕事が必要です。J-SOXが導入された際に、会計コンサル会社の担当部署が、自ら「J-SOXバブル」と称し、かなりの金額のコンサルティング収入を享受していたことを思い出します。会計コンサル会社は潤いましたが、上場企業の負担は増えました。自分のキャッシュフローで回る業種であれば、株式を上場し、市場から資金を調達しなくても済みますので、上記の様な状況が、この数年起きていることが、MBOによる非上場化を増やしている原因のひとつではないかと思います。

 

ただ、齊藤社長が述べた「MBOのプライシングに不正がないかは、当然チェックしないといけない」点ですが、非上場化する上でプライシングは重要であるとは思います。例えば、幻冬舎のMBOでは立花証券やイザベルの名前がマスコミに出ていますが、基本的にプライシングが安いと見たファンドなどが、鞘抜きができると判断したため起きた現象ではないかと思います。

 

上場企業の非上場化は、証券会社や証券取引所、証券業界で働く人たち、さらにモノ言う株主に影響を与えることは明らかである以上、彼らが非上場化に反対することも理解できますが、非上場化増加の背景には、上場企業を取り巻く環境が変わり従来はなかった新たな負担増やこれを商売のネタにしている人たちの存在も考慮しなければ公平な見方にならないと思います。

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