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フジメディアホールディングスの外国人持ち株比率(名義書換拒否前)が30%を超えている件(2014年10月) 

我が国では、電波法や放送法により放送会社の外国人持ち株比率は20%以下とするように法律で制限されています。

これは日本特有の制限ではなく、アメリカ合衆国でも欧州でも国家安全保障上の理由から類似の制限が為されています。(下記表参照)

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総務省情報通信政策局作成(平成17年4月14日)

しかし、我が国では、株式会社フジ・メディア・ホールディングスおよび日本テレビホールディングス株式会社の外国人持ち株比率が外資規制比率である20%を超えています。

この外資規制は前述の通り、放送がもつ影響力が大きいため設けられているものです。

外国人株主が放送法・電波法に定められた制限を超えている状態は、この数年間続くもので、一時的なものではありません。

2014年10月のデータは下記の通りです。

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この現象に関する特徴を2つ指摘します。

第一に、放送業界全体の外国人持ち株比率が高いのではなく、特定の放送会社に外資規制制限を超えた状態が集中していることがわかります。

具体的には、外国人による株式保有が20%を超えているのが、フジ(産経系)と日本テレビ(読売系)に集中しているのが特徴です。

特に、フジ・メディア・ホールディングスの外国人持ち株比率は30.79%買い進められている状況になっています。TBS(毎日系)とテレビ朝日(朝日系)では、外国人による持ち株比率が凡そ半分である(影響力が低い)のも特徴です。

これらの企業に規制違反が集中する理由および原因は何でしょうか?

外国人持ち株比率を超えた当事者である放送会社は、放送法を盾に議決権を19.99%以下にするため、名義書き換えを拒否していますし、今後も認定放送持株会社の免許取消を避けるために名義書き換え拒否をするのでしょう。

第二に、アメリカ人弁護士と話す機会がありましたので、我が国の放送法に於ける実質的な違法状態。名義書き換え制度について意見を求めてみました。

どの弁護士も、現在、日本で起きているような事態(外国人株主比率が事実上規制を超えており、株主名簿の書換請求を拒否することで事態をしのぐ状況)を経験したことがなく、アメリカでどのように取り扱われるかは明確には良く分からないとのことでした。これらのアメリカ人弁護士らは、過去の案件についての知識が豊富な弁護士です。

彼らの感覚としては、もし日本と同じようなことがアメリカ合衆国で起きた場合、合衆国の規制当局は直ちに勧告を出し、発行体である放送会社も何らかの形で免許を剥奪されたりすることがないように外国株主の比率を下げる努力をするだろうと考えています。そして外国人持ち株比率が解消されない場合には、合衆国政府の権力の発動がなされるのではないかと推測しているようでした。

これらの公知情報だけでは判らない部分もあります。

1)フジメディアホールディングスが、いかなる経緯で、この様な外国人持ち株比率になったのか?
2)現在、約三分の一を保有する外国人株主はどの国なのか?
3)ファンドなど匿名性を利用している場合、ファンドの後ろにいる資金の出し手は誰なのか?
4)外国人が株式を保有することにより、放送局の番組内容に何らかの影響を与えていないか?
などの点です。

私は、事実上規制が形骸化されているにもかかわらず、日本政府や発行体(放送会社)が何もしないというのは状況として極めて不健全ですし、規制の存在が意味のないものになると考えています。放送法による規制が出来た頃には存在していなかったファンドなど匿名性を使う手段が登場し状況が変わっている以上、我が国の政府は外資規制に関する法律をもう一度見直し、実態に適応できる法律改正を行う必要があると考えます。

ところが、どの政党も国会でこの問題を取り上げているようには見えません。実際に有効な外資規制とは何かを読者の皆様にもお考え頂きたいと思います。

数年前から日本版エクソンフロリオ条項設定の必要性を書いてきましたが、心配事が現実化している気がします。放送が、国民に与える影響が大きい以上、個人的には、外国人株主問題はこのまま放置しておいて良いのかと思います。

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