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認定放送持株会社における外国人の持つ議決権割合の決定方法の問題点とその解決案 


以前のブログでも触れましたが、我が国では、電波法や放送法により放送会社の外国人議決権割合は五分の一以下とするように法律で制限されています。

これは日本特有の制限ではなく、アメリカ合衆国でも欧州でも国家安全保障上の理由から類似の制限が為されています。

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さて、我が国の電波法第5条3項では、認定放送持株会社の欠格事由として、放送法5条1項に定める外国人の議決権割合が全ての議決権の五分の一を超えないこととされています。また、放送法116条では、外国人の議決権割合が、全ての議決権の五分の一を超え、欠格事由に該当した場合は、その氏名及び住所を株主名簿に記載し、又は記録することを拒むことができるとされています。

我が国の認定放送持株会社は、外国人の持ち株比率が総議決権個数の五分の一(20.00%)を超えた場合、総議決権個数に19.99%を乗じた外国人株主に議決権を与え、その他の外国人株主には株式の名義書換拒否を行い、前述の放送法及び電波法に定める欠格事由を回避しています。

読者の方の中には、ここまでの説明が判りにくい方もいると思いますので、例を引いて説明します。

外国人が全議決権個数10,000個の認定放送持株会社の議決権割合30.00%を有しているとしましょう。当然、名義書換拒否前の状態は以下の通りとなります。

外国人株主の持つ議決権個数 3,000個
日本人株主の持つ議決権個数 7,000個
全議決権個数       10,000個

このままでは、この認定放送持株会社は電波法、放送法の規定(外国人の議決権割合が20.00%未満)に違反し、欠格事由となりますので、この認定放送持株会社は放送免許取り消しを回避するため、前述の放送法・電波法の規定に従い、外国人の持つ議決権のうち19.99%のものに議決権を認め、残りの10.01%の外国人の持つ議決権には株主名簿への名義書換を拒否することで、放送免許の欠格事由を回避します。前述の例ですと、名義書換拒否後の議決権個数は、以下の通りとなります。

外国人株主の持つ議決権個数。1,999個
外国人株主の持つ議決権のうち名義書換拒否された個数 1,001個
日本人株主の持つ議決権個数。7,000個
全議決権個数       10,000個

問題は、外国人株主の持つ議決権のうち名義書換拒否された個数1,001個の扱いです。これら1,001個の議決権を持つ外国人には、認定放送持株会社から株主総会への招集通知は発送されません。議決権を行使できないのですから当然です。
一方、外国人へ株を売却した前の株主にも、当然ですが、株主総会への招集通知は発送されません。
この結果、この認定放送持株会社の株主総会は以下の状態で開催されます。

外国人株主の持つ議決権個数 1,999個 (22.21%)
日本人株主の持つ議決権個数 7,000個 (77.79%)
株主総会で全株主が行使可能な議決権個数 8,999個 (100.00%)

この結果、この認定放送持株会社の株主総会では、外国人の議決権割合が19.99%なのに、実際の株主総会で外国人が行使可能な議決権割合が、22.21%という事態が生じます。この差異が生じる原因ですが、この例ですと、外国人議決権割合を計算する際に、外国人の持つ議決権のうち名義書換拒否された個数1,001個を計算の分母に加えるため生じます。

では、外国人議決権割合が、80.02%の場合は、株主総会における実際の議決権は、どうなるでしょうか?

外国人株主の持つ議決権個数 1,999個
外国人株主の持つ議決権のうち名義書換拒否された個数 6,003個
日本人株主の持つ議決権個数 1,998個

この状態で、株主総会が開かれますと、下記のとおり、外国人が全体の議決権の過半数を超えますので、外国人が経営権を取ることが可能となります。

外国人株主の持つ議決権個数 1,999個
日本人株主の持つ議決権個数 1,998個

この様に、現在オーソライズされている認定放送持株会社の外国人議決権割合の制限方法では、外国人株主の保有比率如何では、外国人が意思を通す事が可能となります。

話を実例で見てみます。認定放送持株会社のうち、外国人持ち株比率が、平成27年3月期末の基準日で五分の一を超えた企業が2社あります。株式会社フジ・メディア・ホールディングスと日本テレビホールディングス株式会社です。

最初に、株式会社フジ・メディア・ホールディングスの平成27年3月期における状況です。

外国人株主の持つ議決権個数 *468,375個
外国人株主の持つ議決権のうち名義書換拒否された個数 244,148個
日本人株主の持つ議決権個数 1,629,356個
全議決権個数        *2,341,879個

仮に、先月行われました同社の株主総会で、全外国人株主がある議案に反対し、全日本人株主がこの議案に賛成したとしますと、この議案には468,375÷2,097,731=22.32%の反対票が入る結果になります。

*:平成27年4月21日にフジ・メディア・ホールディングスが公表しました開示資料
**:平成27年6月25日に行われたフジ・メディア・ホールディングス定時株主総会で、会社から公表された全ての議決権の個数

次に、日本テレビホールディングス株式会社の平成27年3月期における状況です。

外国人株主の持つ議決権個数 *513,417個
外国人株主の持つ議決権のうち名義書換拒否された個数 41,661個
日本人株主の持つ議決権個数 2,012,729個
全議決権個数        *2,526,146個

同じく、先月行われました同社の株主総会で、全外国人株主がある議案に反対し、全日本人株主がこの議案に賛成したとしますと、この議案には513,417÷2,526,146=20.32%の反対票が入る結果になります。

*:平成27年4月20日に日本テレビホールディングスが公表しました開示資料
**:平成27年6月26日に行われた日本テレビホールディングス定時株主総会で、会社から公表された全ての議決権の個数

改善策の提案

では、どうすればこの問題が解決できるでしょうか。

私の提案ですが、株主名簿確定時点における日本人株主の議決権割合を80.01%とし、残りの19.91%に相当する議決権個数を外国人株主へ割り当てる方法に変更することにより、この議決権割合問題を解決することができます。

最初の例(外国人株主が30%の議決権を有した状態)で説明しますと、以下となります。

外国人株主の持つ議決権個数。1,749個 (19.99%)
外国人株主の持つ議決権のうち名義書換拒否する個数 1,251個
日本人株主の持つ議決権個数。7,000個 (80.01%)
全議決権個数       10,000個
( )内は、株主総会で行使可能な議決権割合

この名義書換拒否方法は、放送法並びに電波法に定める外資規制の主旨である株主総会に於ける外国人株主の影響度合いが五分の一を超えないという主旨に沿った結果になります。

一方で、現在行われています外国人に対する議決権割合の決め方ですと、前述の様に、外国人株主の議決権割合如何では、議決権の過半数を超えることが可能になる点があることを指摘します。

放送法、電波法の主旨に添うため、外国人株主の議決権割合の決定方法を見直すことが必要ではないでしょうか。

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